Project September
“声”

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Lyric

悲しいことは 誰にも言えない
傷む心は口を閉ざして
どこへも行けない
どこへも行けない

私の声が届くといいな
あなたが愛しい 想う気持ちは
言葉にしてもすぐには届かない
どうかさみしい時に
思い出して

あなたの声に耳をすませる
嬉しいことは?悲しいことは?
「想いは届かない」
そんなこと言わないで
私には聴こえる
あなたのその声が

Story

– Episode1 –

辛い時に辛いと言えたら。
わけもなく悲しい時、誰かに抱きしめてもらえたら。

ただ何も言わずに、誰かがそばにいてくれたら。

「助けて」
その一言が言えたら、今頃自分はもっと前にちゃんと進めていたのだろうか。

でも…

苦しんでいる姿はみせたくない

相手に悲しい顔をして欲しくない

誰かに言ったってこの辛さは変わらない

誰もわかってくれない

やっぱり言えないと思った。

行き場をなくした声は、日暮れとともに闇に溶けていった。

毎日のように出ていた涙は、もう出なくなっていた。

– Episode2 –

「言葉はね、心にちゃんと届くまでに少し時間がかかるんだ」

「なんで?今もちゃんと聞こえているよ」

「もちろん、お前はしっかりじいちゃんの話を聞いてくれてるだろうよ。
でも言葉って不思議でね。タイムカプセルのように時間を経て、初めてその時その人が投げたメッセージがちゃんとわかったりするものなんだ」

「なんか難しい…」

「そりゃそうだ。少し難しい話をしすぎたな。
まあなんていうんだ、あれだ。
お前の笑った顔は100万ドルだ!これからもたくさん笑えよ!」

そう言ってシワシワの大きな手は、私の頭をグリグリと撫でていた。

心地よい夜風に乗って、鈴虫の声が優しく耳に届いた。

星が綺麗な夜だった。

– Episode3 –

親になって、今までみえていた世界がガラリと変わった。
あの時聞き過ごしていた何気ない言葉の重みや温もりを、今になって痛感している。

誰にも頼らずに生きてきたように思い込んでいたけれども、そうじゃなかった。
思い返せば今までたくさんの人に大切なものを与えてもらった。

「あの子は元気にやっているかしら」

一人娘は、私の“不器用で甘え下手“な所がそっくり似てしまった。

ああ、お母さんもそうだったのかもな。
-きっとあなたは、たまーに私たちのことを思い出すくらいかもしれないけれども、
でも私は一日たりとも考えなかったことはありませんよ- 

お母さんが昔言ってくれた言葉を思い出し、少しだけ目頭が熱くなる。
親はいつだってそうなのかもしれない。

さて、今日もお祈りして眠ろう。

一日を無事に終えられたこと。
大切なあなたたちが無事一日を終えられたこと。
あなたの幸せと健康が明日も続きますようにと。

– Episode4 –

朝からずっと行くあてもなく、ただただ歩いた。

傾きかけた日が、私の影をアスファルトに灼き付けるように伸ばしていた。
ビル群を断ち割るような交差点を渡ろうとした時だった。

駆けていた少女が目の前で転ぶ。

2、3秒して大きな声で「うわーん。痛いよ」と泣き声をあげた。
すぐにお母さんが少女に駆け寄って、少女を優しく抱きしめた。

「痛かったね」

それを待っていたかのように、少女はもっと声を張り上げて泣いていた。

なぜだろう。
その光景を前に私の目から涙が止まらなくなった。

-ああ、私も泣きたかったんだ。

抱きしめて欲しかった。嬉しい気持ちも悲しい気持ちも誰かに聞いて欲しかった。

自分でどうにもできないことはあるんだ。
時間が解決できないこともあるんだ。

-会いに行こう。

はっきりと意志を持った私の足は、目的地へと急ぐ。

夕日にくまどられた街を目にした時、私は確かに心の声を聞いた。

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